寺島実郎「「脳力のレッスンⅡ」を読んで
寺島実郎「脳力のレッスンⅡ」(岩波書店)を読んでいる。副題が「脱9.11への視座」と付けられている。9.11以降日本の外交は「盲目的米国追随外交」というほかない。寺島氏は提言する。
・・・二一世紀の日本外交の基軸とすべき三項目を明確にしておきたい。
第一に、米国をアジアから孤立させぬこと。真の同盟国として、米国の単独覇権主義を抑制する努力をし、国際協調を志向する新世界秩序への責任ある指導国としての役割を自覚せしめること。当然のことながら、この役割を果たすには、アジアに影響力を持つ日本が重要で、アジアから孤立した日本では意味がない。
第二に、中国を国際社会のルールに参画させること。知財権、環境保全などの分野で粘り強く国際社会への責任ある関与者になるよう知恵を出すこと。東アジアの連携については、金融、環境、食料、エネルギーなど個別課題での実利にかなった相互連携のスキームを段階的に積み上げること。
第三に、日本自身も、国際法理と国際協調に生きること。ICC(国際刑事裁判所)への参加の遅れなど、日本も国際機関を尊重し参画する姿勢にかける面があり、国際安保理常任理事国入りを求める以前に、日本としての筋道を貫く覚悟が必要である。その際、「比較平和主義」の貫徹など日本外交を際立たせる理念性を見失ってはならない。日本近代史の省察を踏まえ、歴史の評価に耐える外交を志向すべきである。(P16~P17)
いまアメリカの覇権主義の破綻が明らかになりつつある。アメリカの巨大な軍事力をもってアフガニスタンとイラクに平和は訪れただろうか。イラクでは、百万人ともいわれる犠牲者、五百万人を超える難民が生まれ、泥沼の状態からの出口が見えない。私たちは軍事力では問題を解決できないことをこの間痛切に感じている。
アフガニスタンへの派兵国にも変化が生まれている。イギリスのブラウン首相は軍事一本やりから対話を通じて和解を促進させる戦略に重心を移すと述べているし、オーストラリアの新政権の国防大臣も大幅な方向転換を明言している。国際社会は軍事による問題解決のやり方を見直しつつある。
改めて米国べったり、米国追随の日本の外交が際立つ。この日本の選択が「日本外交の厚みのなさを印象付け、アジア諸国にも深い失望を与えた」と寺島氏は言う。
憲法9条をもつ日本にこそ果たす役割があると思う。
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